ウズベキスタン日本語教師滞在記
                                日本ユーラシア協会愛知県連常任理事 天野香寿美

2012年9月から、ウズベキスタン共和国へ日本語教師として赴任された天野香寿美さんからレポートが届きました。天野さんは現在サマルカンド外国語大学で日本語を教えています。





  第5回 値切るのも買い物の楽しみ

 サマルカンドはシルクロード交易を行っていた街、つまり商売の街です。この街では、バザール(市場)や商店ではもちろん、デパートでさえも値切るのが当たり前。いかにして値切るか、今回は小私の経験をお伝えしましょう。

  「まとめて買うから」「高い!別の店では(20が)16だ」「私は旅行者だから記念に値切って(嘘も方便)」は日常的。たとえば、20(=20,000スム。現地通貨スムの単位は1,000が基本ですが、たいてい千単位は切り捨てて言います。)なら「16にして」と言うと、まず18には値引きしてくれます。大切なのは簡単に引き下がらないこと。値引きしてくれるまでしつこく粘ること。恥も外聞もかなぐり捨てて図々しくなることです。売り手も買い手が値切るのに慣れていますからね。

 また、オイルヒーターを買いに行った時のこと。あるお店で255でした。グムデパートで270、周辺の商店では260なので確かに一番安い。この店で買うことを決意しつつも、いやはや値切らずになるものか。が、「高い!まけてよ。」と何度言っても売り手男性は頑として首を縦に振らない。しかしどうしても端数が気に入らない私は、255と入力された数字を勝手に250に打ち直し、にっこり笑って売り手に向けると、彼は苦虫を噛みつぶしたような渋面でかすかに肯いた。やった!そんな日はとても気持ちいい。

 男性は理詰めで責めるべし。例えば、10月には60だった量りが11月には75だった時にはこう言った。「10月にあなたに値を聞いた時には60だったのに、何故今日は75なのか。これは季節商品ではないのにおかしいではないか。私はあなたをはっきりと覚えている。あなたは確かに60と言った。だから60なら買う。50でもいい。」と言うとあっさり60にしてくれた。(50と言えばよかった、と後ですこうし後悔したが。)

 しかし、手強いのは女性である。おばちゃんが強いのは世界各国共通のこと。しかし、おしゃべりして打ち解けたら必ず安くしてくれるのも普遍の真理。無理にこちらから話そうとしなくても外国人に好奇心いっぱいのおばちゃんたちはごく個人的なことまで矢のように質問してくるので、楽しみながら値切ることができます。

 また、最近はこんなことも。必要な品が値切って12だったのに、財布の中にはきっちり12しかない。バス代が500スムなので11しか出せない。そこで、「バスに乗れない。11しか払えない。」と財布の中をおばちゃんに見せると、あっさり11にしてくれた。価格交渉はとても面白いですよ。なるほど、こんな値切り方もあるのか。皆さんも是非サマルカンドで体験なさってください。



ショフ
バザールの野菜売り場




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