ウズベキスタン日本語教師滞在記
                                日本ユーラシア協会愛知県連常任理事 天野香寿美

2012年9月から、ウズベキスタン共和国へ日本語教師として赴任された天野香寿美さんからレポートが届きました。天野さんは現在サマルカンド外国語大学で日本語を教えています。





  第3回(2012年11月)
 のんびりとしたサマルカンドの町  
  同じウズベキスタン国内にあっても、タシケントは別格である
 

 少なくともサマルカンド外大の学生にとって、タシケントは「外国」であり、「地上の星」なのだ。

 学生たちが口を揃えて外国人の私に言うのは、「タシケントに行ったことがありません。」「タシケントはどんな所ですか。」という言葉だ。

  確かに、同じ国にありながら、タシケントとサマルカンドでは空気が異なる。

 まずタシケントは、ライフラインがきちんと整備されていて国内唯一の地下鉄やトラムも走行し、競って最新モードに身を包み街中を闊歩する女性たちに民族の差は感じられない。一方サマルカンドでは、民族衣装をまとった女性たちの方が圧倒的に多いし、人々の歩調ものんびりとしていて、車のクラクションも穏やかだ。

  その上、首都在住という理由だけで、全国の学生に義務付けられている7週間にもわたる綿摘み作業をタシケントの全学生だけが免除されているのだ。また、公共機関のバスですら大きく違う。タシケントの整備された公道を滑るように走るのは、ピカピカに磨かれ、車体の黄緑色を煌めかせて走行する大型ベンツバスであるのに対し、サマルカンドでは穴ぼこの残る道をその体を左右にギシギシ揺らしながらのろのろ動く現地生産のいすずバスである。(もっとも、首都でもいすずバスは走行しているが、どう見ても同じ会社が作製したとは思えない。首都ではいすずバスも綺麗な黄緑色に輝いており、まるで貴婦人のように優雅に走るのだが、サマルカンドのそれは始終砂埃にまみれつつ重い足をひきずってただ懸命に前に進もうとしている肉体労働者のような有り様なのだ。)

  更に、同じ品でも物価はサマルカンドの方が高い。首都の巨大バザールで買い付けられた品をサマルカンドで売るので、諸経費が上乗せされるからである。

  学生たちは言う。「タシケントはとても遠い」と。それは、たとえ成人していても親の許可無しには街の外に出ることを許されない未婚学生たちの、300キロという物理的距離だけではなく、心理的な距離をも訴えているのだろう。

 さて、あなたは交通も便利で廉価な品物も豊富なタシケントと、シルクロード文化の色濃く残るのんびりとしたサマルカンドのどちらがお気に召すでしょうか。是非ウズベキスタンにいらっしゃって実感なさってください。


【写真 タシケントを走るベンツのバス】


 

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