ウズベキスタン日本語教師滞在記
                                日本ユーラシア協会愛知県連常任理事 天野香寿美

2012年9月から、ウズベキスタン共和国へ日本語教師として赴任された天野香寿美さんからレポートが届き ました。天野さんは現在サマルカンド外国語大学で日本語を教えています。





  第12回 
美しく煌く星の下で眠る

 ウズベキスタンに住む人々の多くはイスラム教徒です。故に、殆どの人がイスラムの教えにのっとっ た生活や人生をおくり、今年は7月10日から8月8日までのラマザン(=ラマダン。断食)も行なわれました。ラマザンとは、ヒジュク(聖遷)の道中の苦痛 を追体験する宗教的な試練で、夜明けから日没までの飲食、喫煙、性行為や故意に物を吐く事が禁止されています。全くの断食ではなく、人々は日没後から夜明 けの間に一日の食事を摂りますし、自主的なもので行わなくても罰則はなく、高齢者、妊産婦、乳幼児、病人や旅行者は免除されます。

 のんきな私はサマルカンドに在住していながら、「先生、9日にラマザン明けのお祝いをしますの で、泊まりで遊びに来てください。」との学生からの一本の電話を受けるまでラマザン期間だったことに気がついていませんでした。7月7日の日本語能力試験 を過ぎてからは学生達と会うことは殆どなかったので、「え?断食をしていたの?」と無頓着な私…。

 8月9日の夕刻に私を待っていたのは、ご家族の温かいキスと盛大な御馳走でした。揚げパン(ブブ ―ソフ、チャルパック)、ミルクを使った甘い料理(クラ―スニ−ハルボ、ムーノック)、白くて甘いスープ(シャロ)等お祝いの日にしか出さない料理、学生 が作ったサラダと蜂蜜入りケーキ(ミダビック)、豆類(ジョールティガローフ、ピスタ、ボード―、アレフ)や鶏肉の煮込みなど数多くの美味しい料理をワイ ンやウォッカと共に楽しく頂きました。そして、生まれて初めて頂く料理も多い幸せな食事の後は、念願叶って戸外で眠ることができました!以前ある学生から 「私達は、夏は涼しい家の外で星を見ながら寝ます」と聞いていたので、私もそうしたいと言っていたのを学生のご家族が叶えてくれたのです! 

サマルカンドはとても治安がいいので、敷地内であれば家の外でも安心して眠れます。戸外に出してあ るカラバン(食事も休むこともできる脚付き高台)でそのまま休ませて頂きました。目に入るのは、広い敷地に植えてある高いブドウ棚(高さ8メートルくらい の所に私の顔より大きい落ちんばかりのブドウが多々なっているのです)とどこまでも高く澄みわたっている空に美しく煌めく降るような星たちです。美味しい 御馳走で幸せに満ちた身体を爽やかな風にまかせ、何億年も前に放たれた星々の輝きをうっとりと見つめながら戸外で眠りにつくなんて、なんという至福!日本 ではなかなか味わえない贅沢!

母国ではできない体験ができる、それが異国で暮らす一番の魅力です。皆さんはどんな 素敵な経験をウズベキスタンで重ねられるのでしょうか。是非ご自身でお試しください。


 
ラマザン明けの祝い


 

第11回へ戻る       インデックスへ戻る      第13回へすすむ