ウズベキスタン日本語教師滞在記
                                日本ユーラシア協会愛知県連常任理事 天野香寿美

2012年9月から、ウズベキスタン共和国へ日本語教師として赴任された天野香寿美さんからレポートが届きました。天野さんは現在サマルカンド外国語大学で日本語を教えています。





  第10回 
おいしいアイスクリームと果物
 ウズベキスタンでは30度を超す日々が続いていますが、アツいのは戸外だけではありません。六月は大学構内でもアツい時期なのです。

 四年生たちは卒業論文の作成とその口頭試験の準備のため文字通り血眼になっている一方、新入生の願書受付も始まり、新旧の学生達が構内を走り回っています。また、三年生も学年論文を仕上げなくてはならないのですが、日本語能力試験開催日(七月七日)はそのような個々の事情にはお構いなく、刻々と近づいてきています。学生達にとっては頑張りどころでしょう。

 そう書くと、日本人の感覚ならば彼らは寸刻を惜しんで勉学に励んでいる、と思いがちですが、民族も考え方も異なる外国ですからなかなかそうもいかないようです。生活費と学費を稼ぐため深夜までアルバイトをしながら勉強していた日本の日本語学校の学生たちに比べたら、非常におっとりとしています。実は、私は「怖い厳しい先生」と思われています。別に大声でどなったり叱りつけたりするわけではありません。「授業を受ける時は筆記用具ぐらい持ってきなさい」「時間に遅れないように。遅れる時には必ず連絡をしなさい」「職員室に入室する時はノックをして入りなさい」「借りたものは返しなさい。大学の本や備品を自分のものにしてはいけません」等注意するだけなのですが、二十年近く(以上)生きてきた彼らには初めて耳にする言葉なので、「今まで誰も言わなかったことを言う厳しい先生」なのです。ある日、学生が言いました。「先生、時間を守らなくても地球はなくなりません」と。不真面目な学生ならともかく、とても真面目で優秀な学生がそう言ったのには非常に驚きました。なるほど、考え方が異なるとはこういうことなのだ。彼らの骨の髄まで「時間も約束も守らなくてもいい」という考えがしみ込んでしまっているのだ、とショックでしたが、「日本に行きたい」という学生達には特に容赦なくビシビシと注意をすることに変わりはありません。日本に行って困るのは彼らなのですから。最近では「筆記用具を忘れた…?家へ帰れ」と「日本組」の学生達には更に厳しく接していますが、少しずつ変わっていく彼らを見るのは教師としての喜びでもあります。

 さて、暑くなってくると欲しくなるのがアイスクリーム。実は、ウズベキスタンの人々は大のアイスクリーム好き。子供はもちろん大人たちもアイスクリームを食べながら歩いています。そのアイスの美味しいこと!お店によってその濃さも味も種類も異なるので、今日はここで、別の日はあそこでと食べ比べるのも楽しみです。(日本では見かけない珍しいアイスもスーパーで1キロ200円!)また、待望のスイカもメロンもいよいよ出回ってきました。マスクメロンのようなメロンは150円くらいですが、スイカは1玉100円前後ととても安くて美味しいです。

 この地で日本人らしく時間も約束も守り通そうとすると大変なものがありますが、それでも学生たちは可愛いし、サマルカンドもとてもいい所です。異文化も楽しみつつ、梅雨知らずの青い空と美味しい果物たちを味わいながら、「来てよかった」と日々満喫しています。


    


アイスクリームを食べる1Bの学生たち


 

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