ウズベキスタン日本語教師滞在記(15) ウズベキスタンでは、バス車内で席を譲るマナーはとても素晴らしいです。年配女性、年配男性、子連れ女性、女性の順に席を譲られ、若い男性が着席することはあまりありません。席を譲らない若者がいると、周囲の人々が「親に教えられていないのか」と人前できつく注意します。 私もよく席を譲ってもらいました。その時「しね、しね」と言われ、「死ね?死ね?」と驚きましたが、「しね」はタジク語で「座ってください」の意味だと分かり一安心。日本では席を譲られるとあまりいい気持ちはしないという方も多いのですが、この国はイスラム社会。年配の方を敬うのは当然のことなので遠慮は全く必要ありません。皆さん、ウズベキスタンの地下鉄(タシケントにしかありませんが)やバス車内で席を譲られたら、堂々と座ってください。この国では全てにおいて遠慮をしてはいけません。 そう。遠慮、謙遜、人に対する気遣い等日本人の美徳とされていることは捨て去るのがこの国で暮らす秘訣です。サマルカンドに来て2カ月後、ある在住日本人から「この国で暮らすには、図太くあれ、図々しくあれ、そして鈍感であれ」とのアドバイスを頂いたのですが、月日が経つにつれその意味が本当によくわかってきました。例えば列車の切符を購入しに駅に行った時のこと。窓口に半円形に多数の人々が殺到していました。ロシアで「誰が最後?」と聞くと必ず誰かが「私」と示してくれたことを思い出してここでも聞いてみましたが、「何を言ってるんだ」とばかりの表情でふりむかれました。声が小さかったのかと思い今度は大きい声で聞いてみましたが、やはり誰も何もリアクションをしません。そうです。この国には順番というものはないのです。そうなれば郷に入れば郷に従えです。縦にも横にも大きい彼らの中を前へ押し入っていき、次は私だ、とパスポートを手に待ちかまえていると、窓口の真正面にいるのは私なのに係員の前に左右からパスポートが飛んでくるではありませんか!そうか、ここでは力の強いものが優先されるんだと分かった私は飛んできたパスポートを払いのけ、「私が見えないのか。切符を売れ!」と叫んで係員に向かうも、彼は私に気付いていない振りをしてデップリ太って嵐のように我先にと叫ぶ大男のパスポートを受け取ろうとしています。このままではいくら窓口の最前列、係員の真正面にいても切符は永遠に手に入りそうもありません。それで更に大声で「私を見たんだろ!私が先だ!いいかげんにしろ!」と叫ぶと、ようやく切符を売ってくれました。 ウズベクはムスリムの国、学生達の言葉によると「男は王様、女は奴隷」の社会です。ましてや子供体型の外国人女性など存在外なので、必要な時は大声で主張しなければ何も前に進みません。バス車内でのマナーの良さを他の場面でも適用すればいいのに、と思いますが、そうもいかないようです。 滞在記は今号で終了です。皆さん。旅行には最良の国ですので是非お越しください。果物とサマルカンドブルーの青空は世界一だと思います。でも外国ですから図々しく主張することも必要ですし、値札のあるスーパー以外のお店やバザールでは必ず大胆に値切ってください。この国は思っていることを全て言うことが許される国ですので、言いたいことは遠慮せずどんどん言ってくださいね。そんな、日本では決してできないことができるのも面白いですよ。 |
![]() レジスタン広場と青い空 |