コミタス・カルテットからメッ セージ 魂の触れ合いの予感


 このたび協会がアルメニア共和国から招聘するコミタス・カルテットの団員から日本の皆さんへのメッセージが届いた。団員はそのなかで自らの音楽との関わ りや、日本への関心を語っている。今回の音楽会が両国民の魂の触れ合いの一助になることが期待される。

 コミタス・カルテットはアルメニアで、旧ソ連で、そして世界でも最も歴史ある弦楽四重奏団であ り、アルメニア音楽の父であるコミタス・ヴァルダペト(1869〜1935)の名を冠している。今回の来日ではコミタスの弦楽四重奏のためのアルメニア民族音楽14の小品のほかに、エドゥアルド・ミルゾヤン(ア ルメニアの作曲家、1921〜2012)、ヘンデル、チャイコフスキー、ショスタコーヴィチ、ハチャトゥリヤンの作品を演奏する。

 エドゥアルド・タデヴォ シャン(第1ヴァイオリン=男性)

 カルテットでの45年間の仕事を通じて、私は、音楽に職業として携わるのは、どうしてもやらず にはいられない者が携わるしかないという結論に達しました。

 あるとき、ジャーナリストと話していて、私は「真面目に」冗談を言いました。それは、カルテッ トというのは名医が下す診断だということ。

 そして音楽の知覚というのは終わりのないプロセスです。

 日本についての熱狂的な言葉を初めて聞いたのは偉大なアラム・ハヤトゥリヤン、そして私の忘れ がたい恩師であるレオニード・コーガンの口からでした。

 時が過ぎて、20世紀の著名なアルメニアの詩人ナイリ・ザリャンの翻訳によって、私は心の奥深 くに、天才的な小品である発句と短歌を吸収しました。その後、武士道の原理を通じて日本精神の基礎を知りました。その原理とは義、勇、仁、礼、誠、名誉、 忠義です。私は日本の復興の奇跡は「民族の伝統を守る」ことにあると認識しました。それはすなわち、最高の規律と進取の精神です。

 アレクサンダー・コセ ミャン(ヴィオラ=男性)

 私は文章よりも、私の音楽への思いを、何よりも演奏そのものによって皆様に伝えたいと思いま す。

 シュージィ・エリツィア ン(第2ヴァイオリン=女性)

 私は、もし音楽家にならなかった何になっただろうと考えたとき、その問いは無意味だと分かりま した。なぜなら、私が音楽家になりたいとう希望は小さいときから、自然で最優先のものだったからです。 アルメニアにおける楽器製作の創始者であったエリ ツィアン一族に生まれて、私は著名な音楽家のコンサートだけでなく、練習の場や熱い議論の場にもいました。長年私はアルメニアと外国の舞台で出演してきま したが、毎回、開演前の興奮を感じてきました。08年には幸いなことにコミタス・カルテットの一員として、第2バイオリン奏者として働くことになりまし た。そしてこんにち、カルテットの一員として日本を訪れるという名誉が与えられたとき、自然に、何年も前に世界の多くの国(フランス、ドイツ、イギリス、 チェコ、ブラジル)やシュレスウィヒ・ホルシュタイン音楽祭で演奏するなかで、いにしえと現代の芸術、妙なる建築と魅惑的な自然、をひとつに結びつけた日 本という素晴らしい国を発見したことを思い出しました。日本の聴衆の皆さんを迎えることは、今まで私が慣れてきたこととまったく違います。そこには日出ず る国の独特の文化があります。そして、素晴らしいコンサートに向けて練習しながら、私にはこの国で、もっと多くの興味深く、そして思いがけない発見が待っ ていることを感じるのです。

 ハスミク・ヴァルダニャ ン(チェロ=女性)

 音楽は美を見るための、神の存在を感じるための方法です。音楽は私に神に話し掛ける可能性を与 え、空を飛ぶこと、触れることのできない物に触れることを助けます。音楽はどこにでもあり…音楽は私たちの気分を一瞬にして変えることができます。音楽は 人生をより深く、真剣に考えさせてくれます。音楽は私が失敗のない人生を歩むことを助けます。

 日本は自然のミステリアスな存在に満ちた国であり、また、挫けることのな強い人々のいる国で す。日本は世界にとって、どんな困難のもとでも人々が生き抜き、そして人間性と勇気を失わない、最良の手本のひとつです。こんにち、日本は世界のなかで力 強く、尊敬すべき、そして独立した国のひとつです。私はその素晴らしい国に行って自分の目で見ること、日本人の生き方に触れる大きなチャンスにとても興奮 しています。