第89回ロシア語サロン    2013.9.29


                                               「日本での起業と今後の展望」

                                                               エヴゲーニー・トリャスティンさん
 
エヴゲーニー・トリャスティンさんのプロフィール

 カザフスタン生まれで2歳からはサハリンで育つ。サハリン国立大学東洋学部卒業後、1年間はサハリンの会社で働き、2006年に名古屋大学に留学、一年は研究生、修士課程に2年、博士課程に3年在籍、その後名古屋で起業。現在は日本の化粧品・健康食品を海外にネット販売する会社の社長。


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 まず起業を思い立った理由についてお話します。高校生の時にはプログラマ―になりたいと思っていましたが、その技術を現実にどう生かせるかについて具体的にはわかりませんでした。サハリンの大学を卒業した後、留学した日本には様々な面白い商品がありました。それらは簡単に手に入りますし、インターネットを通じて商品を売るというアイディアが頭に浮かびました。「自分の好きなことをしよう」というスティーブ・ジョブスの言葉にも影響され、起業を思い立ったのは2年前、まだ大学院生の時でした。まだ学生で時間があったこともあり、さっそく仕事にとりかかったのですが、2009年にリチウム電池は空輸できないという法律ができて家電の類は扱い難くなってしました。そこで始めたのは自然の素材を使った化粧品類や健康食品の販売です。抗がん効果を持つキノコのエキスや海藻からつくられた健康食品などを売ったのですが、福島の原発事故以降は放射能残留を恐れる人が多くお客は激減してしまいました。

 サハリンで日本人と共に1年働いた経験はあったのですがそれ以外はまったくのゼロからの出発でした。両親は私の起業に賛成して応援してくれ、最初の資金を貸してくれました。商品を仕入れるために日本中の会社に電話しましたが 反応がそれぞれ違っていたのは面白かったです。東京や大阪のような大都市や沖縄の企業はオープンに話をしてくれるのですが(沖縄の人は自分たちも外国人だと思っているように感じられました。)、田舎、特に九州の業者は外国へ商品を売りたくないようで非常に冷たい応対でした。外国に商品を売った場合のトラブルを恐れているようでした。

 いろいろ苦労はしていますし、年中無休で、このせいで恋人とうまくいかなくなったこともあるのですが、「一番大事なことは情熱を失わず、あきらめないこと!」と思います。新たに起業した小さな会社の大半は2-3年で消えてしまうと言われていますが なんとかがんばって経営を続け、胸を張って「私は社長です。」と言えるようになりたいと思っています。




 物静かでちょっとシャイなエヴゲーニーさんはビジネスマンというより学者風に見えるのですが 「一番大事なことはあきらめないこと!」という言葉に内に秘めた強い意志が見えました。

 お話を聞いたのは22名、狭いロシア語教室は満員でした。彼の会社では約300種類の商品を売っているそうですが、たとえばロシアで人気の「緑茶」などはもうすでに多くの業者が扱っているそうで つねに新しい商品を探す必要があります。参加者から「こんな商品を売ったら?」の提案が多数ありました。
お仕事の成功をお祈りしています!  (服部記)







 
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