第73回ロシア語サロン  2009.1.25

想像していた日本と初めて実際に見た日本
 
            
                                ニーナ・ペトリシェヴァ

 

 私が留学のために初めて来日した時は まだ日本語も話せず日本に関しての知識もあまりありませんでした。日本人の名前には父称がないことは知っていたのですが、、、まず空港に着いたその時からカルチャーショックがありました。物を盗むことはロシアでももちろん犯罪ですが、駅で自分の荷物から眼を放した際にそれがなくなったとしても「ちゃんと荷物を見張っていなかったその人が悪い」と責められるのが普通です。ところが日本の空港では出迎えの日本人の指示に従って(とても不安だったのですが)トランクを通路に置きっぱなしにしたまま手続きのため窓口に行ったところ戻ってきた時そのトランクはまだ盗まれずにそこにあったのでした!こんなに犯罪がない社会がありえるとは!

 その後も最初は日本語が話せなかった私は何度も親切な日本人に助けられ(日本では英語が通じないことも驚きでしたが)日本人の誠実さに感動したものです。

 またすぐ目についたのは町に自転車が多いことでした。ロシアでは歩道に段差があるので自転車には乗りにくいし運転マナーが悪いので車道を走るのも危険なので町で自転車を見かけることはまずないのです。

 私は高校でロシア語を教えていたのですが 地下鉄の中で女子高生が足を開いて床に座り込んでいるのや、寒いのに素足でミニスカートをはいているのや、人前で平気でお化粧をするのを見てびっくりでした。

 またソ連時代の画一的なビルを見て育った私は日本の街に林立する高層ビルがそれぞれユニークな外観を持っていることを面白く思いました。

 日本人はちょっとでも土地があるとよく手入れしてかわいい庭を作りますね。散歩のときそれぞれのユニークな家々や庭を見るのが楽しみです。

 日本語ができるようになってくると日本語の表現が私を驚かせました。わざわざ「つまらない物」だと言ってプレゼントしてくれたり、自分が少しでもほめられるとすぐにそれを否定したり、自分や家族のことを貶めるようなことを言ったり、、、今ではそれは日本人がとてもつつましくて謙遜する民族であるからの表現だと理解はしていますが それでもはやり私は抵抗を覚えます。特にお
酒の席で日本の男性が自分の妻のことをけなすのを聞くのはほんとうに嫌です。

 その他にも すぐに結論から切り出すロシア人に対して日本人は婉曲に話を進めていくとか、なにか問題が起きた時日本人はなかなか自分の意見をストレートに言わないことなどに気が付きました。日本語を研究してきた私はこれは日本人が話相手の感情に非常に気を使うという国民性を持っているためだという結論に達しました。つまりいきなり結論を言えば相手が傷つくのではないかと思ったり、自分の意見を言う前に相手の意見を十分に聞いてあげようと思う気持ちから 話を婉曲に進めたり、すぐに自分の意見を言ったりしないのだと。このことは日本人のメンタリティを理解してない外国人にはなかなか理解しにくいことであると思います。




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