第41回ロシア語サロン  2002.1.27

美しい故郷を語る
   魅力いっぱい田舎生活
           ミハイル・マクシムークさん

 モスクワの西にタローペッツという小さな町があります。第41回ロシア語サロン(1月27日)は、この町の出身者で、現在、名古屋大学で学んでいるミハイル・マクシムークさんに、ロシアの田舎の様子、生活について語っていただきました。

 今日は、私の故郷で、今も両親が住んでいる町タローペッツについてお話しします。
 この町は、モスクワの西350キロにあり、900年ほど前にできました。町の中をヤローパ川が流れており、湖もあります。町の人口は1万5千人です。百年ほど前には、現在の十倍もの人が住んでいましたが、今では老人ばかりが住む町になってしまいました。
 町の風景は昔とほとんど変わりません。軒下に薪を積んだ木造の家、その庭先にはサウナ小屋、納屋、家畜小屋があり、畑が広がっています。町にはレンガ造りのアパートもありますが、木造の家の方が住み心地がよく、また、その家も自分たちで建ててしまいます。
 大半の家にはシャワーの設備はありませんが、その代わりにサウナがあります。このサウナは別棟になっています。石を高温に熱して水をかけ、モウモウと蒸気を立てた中で熱湯に浸した白樺の小枝で身体を叩きます。とても気持ちがいいですよ。ただ、小屋の中は非常に熱くなるので、時々ドアを開けることもあります。日本のサウナは、私には寒い感じがします。
 家のそばにはかならず畑があり、ジャガイモ、人参、キャベツ、胡瓜、トマト、スビョークラ(ビーツ)、ハーブなどの基本的な作物は自給自足です。特にジャガイモは、冬中食べる大切な食料なので、たくさん栽培し、その収穫は二日がかりの大仕事です。
 林檎や杏も栽培し、ブルーベリーやクランベリーなどは森へ採りに出かけるのが普通で、店では買いません。森で採るベリー類や茸はとても美味しく、これはまた楽しい行事でもあります。
 両親は鶏を飼っているので卵を買うことがありませんし、乳牛は三家族で一頭を飼っていて、交代で放牧に出かけます。
 ここ15年間はロシアの生活には大きな変化があり、タローペッツの人々にとって悪いことばかりでした。失業者が増え、収入が低下し、大半の人が給料だけでは生活できなくなっています。ですから、畑で作る作物は不可欠で、時には現金収入を得るための手段ともなります。
 ここ数年は、毎日数時間も停電しています。こういうこともあって、町の人たちは共産党支持者が多く、現在の市長も共産党員です。
 もう三年ほど故郷に帰っていませんが、ロシアにいたころは年に数回は帰省していました。特に、タローペッツの夏は素敵です。家のそばにあるきれいな湖に出かけたり、森を歩いてブルーベリーを摘んだりしてリラックスします。
 私の弟は、現在、ニューヨークで働いていて、アメリカが大好きだと言います。でも、「アメリカに住みたいとは思わない」と言っています。やはり、あの故郷の小さな町、森、湖、そしてブルーベリーや茸を摘んだ光景が忘れられないと言って、年に数回もタローペッツに戻ってきています。私もまた、同じ思いでいます。