第37回ロシア語サロン  2001.6.24

留学に一万人送り出す
        人材育成に懸命
 第37回ロシア語サロンは、さる3月に行われたユーラシアの集 いでウズベキスタンについてお話しいただいた留学生のナジール・アフメジャーノフさんをゲストにお招きして6月24日(日)に開かれました。アフメジャー ノフさんは現在、名古屋大学大学院博士課程に在学中。お話のテーマは「日本とウズベキスタン−これからの国際協力」。


 ウズベキスタンは、サマルカンド、ブハラ、 コーカンドなどシルクロードの町を擁し、古くから東西の文化交流の盛んな国でした。特に、十四世紀にはチムール大帝の文化保護政策の元で文学や科学が発展 し、華麗なイスラム文化のうかがわれる建物は、今も世界中の旅行者を魅了しています。
 こうした歴史のある国であると同時に、ウズベキスタンはソ連崩壊後独立国家となり、今年十周年を迎える若い国家で もあります。
 ソ連時代は綿花の生産だけを分担させられていたので、ソ連崩壊後、経済は混乱しました。政府は法制度を改革し、国 家財産の私有化を進め、経済改革に乗り出しました。現在では次第に持ち直し、中央アジア諸国の中では一番、経済が安定し、ウズベク人、タジク人、ロシア 人、朝鮮系の人など多くの民族が仲良く暮らす安全な国として専門家からも評価されるようになりました。
 明治時代に日本が多くの学生を先進国に留学させて後の人材を育てたのと同様にウズベキスタンも現在、約1万人の留 学生をアメリカ、ヨーロッパ、日本などの大学に送りだしています。私はタシュケントの検察庁で働いていたのですが、日本の国際開発事業団を通じて奨学金を 得て、日本の法制度を学び、その文化や習慣を知るために来日してきました。
 去年はウズベキスタンから20名の留学生が来日、今年も主に経済、マネージメント関係の勉強をするために、また 20名が来日することになっています。
 特にここ2年間は、日本とウズベキスタンの共同事業が盛んになってきました。天然ガスや金の採掘加工関係の合弁会 社が数社できて三井物産や三菱商事など十六社の日本企業がタシュケントに駐在事務所を開いています。
 日本の投資総額は十三億ドルに上り、通信、交通などインフラストラクチャーの整備が進んでいます。また、日本政府 からは8500万ドルの無償医療援助があり、医療改善に貢献しました。
 タシュケントにはジェトロの事務所も開かれ、ウズベキスタン−日本協会も出来ましたし、大阪とタシュケント間には 定期便が飛ぶようになりました。
 私はすでに2回、この便に乗りましたが、2回とも乗客は私以外はみんな日本人で、ウズベキスタンを訪れる日本の方 が非常に多くなったことを実感しました。
 ウズベク人はお客が好きで、お客は誰でも歓迎し、まず緑茶とパンを勧めて歓待します。日本人とウズベク人にはこう いう点でも共通点があると思います。ウズベキスタンには日本の炬燵によく似たテーブルもあります。
 私はあと二年間日本で勉強し、帰国したらまた検察庁に戻って働く予定です。この経験を生かして日本とウズベキスタ ンの架け橋になりたいと思います。