冬のモスクワ感動の旅
          出会いと再会    本多まゆみ
 1月2日から9日まで冬のモスクワへの旅に出かけました。ツアーには乗らず、飛行機と ホテルだけを決めたまったくのフリープランです。友人夫婦と私の3人は、「寒いかしら。どうかな」と心配しながらも、きっと良い旅を創れると大いに期待 し、結果は期待以上の素晴らしい旅が過ごせたのです。
 私は昨年の夏にもモスクワ・サンクトペテルブルグを楽しみ、その時出会った人々との再会を望んで いました。また、秋に日本で出会ったユーゴザーパド劇団にぞっこん惚れ込んで、彼らの本拠地モスクワの、小さいけれども熱気溢れると伝え聞く劇場を、是非 とも訪れなくてはなりませんでした。
 そんな経緯から3人のロシア人との事前のやりとりがありました。私は彼らのために沢山のお土産を 用意しました。着物一式二組と自分用の着物二枚、カレンダーを15本、ほかに食料と絵本も。夏に出会った青年が空港に出迎えてくれ、予定になかっただけに 本当に感激しました。
ロシア語が日に日に上達
 そして、ホテルへ荷物を置くなりユーゴザーパド劇場へ。芝居は途中でしたが、お気に入りの俳優ゴ ルシェコフさんと再会できて感動しました。
 翌三日、私は着物を着て、またユーゴザーパド劇場に出かけました。子供向けという「マウグリー」 を楽しみました。これは素晴らしい芝居です。その後はゴルシェコフさんのご家庭に招待され、楽しく賑やかなひとときを過ごしました。奥様とお母様に、用意 した着物を着付けてさしあげ、ご家族や友人の方々にも喜んでいただきました。11歳になるアリョーシャは、日本語に興味を示し、お土産に持っていった「独 楽」「けんだま」がアッという間にうまくなってしまいました。彼はきっと、これから日本語を勉強するに違いありません。
 四日は、サンクト・ペテルブルグから会いに来てくださったエレナさんと、夏以来の再会を果たしま した。「扇の研究家」として、本を書いたり講演活動もされるエネルギー溢れる彼女は、その後三日間を一緒に過ごしました。いずれ日本で「扇に関する展覧 会」を開催するのが希望だということです。
 帰国の日の八日、ゴルシェコフさんが、「赤の広場」を案内してくださいました。とても美しい「赤 あの広場」に感動し、また、旅の充実と人との出会いにも感動しました。初めての冬のモスクワで、何よりも驚いたのは室内の暖かさでした。セントラルヒー ティングで室内のどこも快適で、空気は汚れず、火事の心配もなく、洗濯物も早く乾きます。
 私のロシア語は、旅の間、日に日に上達していくのが自分でも分かりました。通訳を引き受けてくだ さったユーゴザーパド劇場唯一の日本人女優野崎さんに「本多さん、耳が開きましたね。大変上手ですよ」と褒められたことも、今度の旅が楽しい旅になった一 つでした